
|
■ 他のカメラについて2 Minolta TC-1と富士フイルムKLASSE Sについてのインプレッションです。 |
■ 高級コンパクト編
■ Minolta TC-1 作例 惜しまれつつ生産中止になった、銀塩高級コンパクトの頂点に立つカメラ。ミノルタTC-1を手にしてみると、これはとてつもないカメラだということがわかる。サイズはニコン35Tiより二回りも小さい。35mmフィルムを使うAFカメラとしては、極限のサイズだ。ワイシャツの胸ポケットに入るのは、本当に助かる。TC-1を使うと、カメラにとって小さく軽いことがいかに重要な性能か、改めて実感させられるだろう。しかもただ小さいだけでなく、上から見ると前が絞られている(下の写真参照)。これで非常に持ちやすくなっており、ただの四角い箱の35Tiより断然優れている。コンパクトカメラにしてはシャッタータイムラグが短い方だから、子供写真にも使える(もっとも、広角28mmだから、人物の顔が歪みやすい点に要注意)。 TC-1とニコン35Tiの外観比較 ![]() また、ファインダー内表示が出色。AFコンパクトカメラの弱点は、ピントがはずれていてもそれがわからないことだが、TC-1はピント合焦距離がファインダー内に表示される(フォーカスインジケーター)。被写体が50cmのところにあるのに、ファインダー内で1mと表示されていれば、ピントがはずれているとわかる。このフォーカスインジケーター、バックライトがないため少し暗くなると見づらくなるのが残念だ。 TC-1は基本的に絞り優先機だが、絞り優先で使うとシャッター速度が最高1/350秒までしかでない。ところが、実はこのカメラには隠れプログラムモード「超自動露出」があって、F3.5とF5.6では最高シャッター速度が1/750秒となり絞りも自動で絞られる(シャッターを開けきらない仕組み)。TC-1の売りの一つである円形絞りは使えないが、ISO400のフィルムだと1/350秒では足りないことが多いから、絞りはF3.5固定にしておく方が使いやすいと思う。ストロボは自動発光でないので、ストロボを使うときは事前にストロボモードに切り替える必要あり。 レンズG-ROKKOR 28mm F3.5の描写力については、ネット上のあちこちで絶賛されているので多言を要しないが、一眼レフの単焦点28mmに匹敵する解像力と、まるでPLフィルターを使ったかのような発色の良さが特長だ。やや冷色気味だから、暖色系のフィルムの方が合うかもしれない。 ただし、周辺光量不足はかなり目立つ。ネガフィルムのプリントは全体を明るくするようになっているので、TC-1の周辺の暗さに引っ張られて中央部分が露出オーバー気味の同時プリントになる傾向がある。ネガフィルムを使うときは、その点をDPE店に注意してプリントしてもらう必要があるだろう。レンズの逆光性能はまずまずだが、強い逆光ではフレアが発生することもある。また、被写体によっては糸巻き型の歪曲収差が目立つ。 その他の使用上の注意点として、AEが少々不安定な点がある。TC-1のAEは中央重点測光だが、ちょっと逆光気味になるとすぐに露出アンダーに転んでしまう。露出精度はニコン35Tiのマルチパターン測光の方が断然上だ。露出補正をすればいいのだが、TC-1の露出補正はあまり使いやすくない上に、子供写真のように撮影ポジションとともに光の状況がめまぐるしく変わる場合には露出補正など悠長なことをしている暇はない。なので、TC-1ではストロボ(日中シンクロ)を積極的に使うのがよいと思う。小さいストロボだが、意外に効果は大きい。 TC-1には、コンパクトカメラには珍しくスポット測光がついていて、裏蓋のスポット測光ボタン(左)を押しながらシャッターを切ると、スポット測光になる(ボタンを押すだけで露出が固定されるようにカスタマイズできる)。スポット測光は、露出をマニュアルで決める際に、画面の数カ所を計って適正露出を割り出すというのが本来の使い方だが、TC-1などカメラに内蔵されているスポット測光は、単体露出計より測光範囲が広いので、そういう厳密な使い方には向いていない。むしろ、「スポット」測光という名前の通り、画面の一部にスポットライトが当たっているステージの撮影に向いている。スポットライトが当たっている部分だけを測光すると、シャッタースピードが上がるから、暗いステージでも手ブレせず撮れる確率が高くなる。TC-1のような広角28mmレンズでステージ撮影をすることは少ないだろうが、覚えておくと何かの役に立つかもしれない。 なおTC-1は、コニカミノルタのサイトから使用説明書をダウンロードできる。 TC-1関連リンク集 http://cgi.kiwi.ne.jp/~mizusawa/penguin/CAMEdata/konica_minolta/specTC1.html http://www.ne.jp/asahi/55/nishikin/tc1/minoltatc1.htm http://www.naney.org/photo/equipment/camera/TC-1/index.html http://plaza.rakuten.co.jp/enzzo1972/3009 http://homepage2.nifty.com/ilovehawaii/tc1_1.html http://syama.cside.ne.jp/main.htm ■ FUJIFILM KLASSE S 貴重な現行の高級フィルムコンパクトカメラ。なおKLASSEシリーズには、2001年に発売された初代KLASSEがあり、現行品は2代目に当たる。形がほとんど同じだから、中古で買うときは注意すること。現行品は、KLASSE「S」とかKLASSE「W」と、アルファベット1文字が追加されている。KLASSE W(28mm)とKLASSE S(38mm)のどちらを選ぶか、28mmと35mm(38mm)の選択は、深く考えると哲学的な難問だが、人物を撮るか撮らないかで決めるのが一番簡単だろう。28mmでは遠近感が強すぎて、人物の顔が歪みやすい。35mmだと歪みは多少抑えられる。一人旅ならKLASSE W、家族旅行ならKLASSE Sだ。 KLASSE Sは、カタログ写真では大きく見えるが、実物は結構コンパクトで軽い。高さは、上のMinolta TC-1とほとんど変わらない。高級銀塩コンパクトとしては、小型軽量の部類に入ると言って良いだろう。外装も十分高級感がある。特に、右手で持つ部分が丸い形になっているので、手になじみやすい。 ユニークなのが付属ストラップ(左)。簡単に長さを調節できる。メインカメラとサブカメラの両方を首に掛けた場合、ストラップの長さが同じだと、カメラ同士がぶつかってしまう。そこでサブカメラの方のストラップを短くするわけだが、普通のカメラストラップは長さの調節が面倒だ。だが、KLASSEのストラップなら、その面倒を避けられる。サブカメラとして使われることが多いKLASSEには、ありがたい配慮だ。また、ストラップを短くして首に掛けると、両手が自由に使えるため、子供の世話をしなければならない家族旅行のお供にも最適だ。ファインダー内表示が、明るいところで見えづらくなるのが惜しい。 KLASSEは多機能な点も高級機らしい。バルブやケーブルレリーズ(ニコンのAR-3も可)が使えるコンパクトカメラは非常に少ない。もっとも、1回シャッターを切るだけでバルブモードが解除されてしまうのは、バルブを多用したい花火撮影に事実上使えないから、要改善点だ。また、機能の呼び出しはボタン+ダイヤル(左の写真参照)で行うが、ストロボのON/OFFなど呼び出しに時間がかかるのはまだるっこい。後継機ではさらに操作系を練ってもらいたいものだ。シャッタータイムラグは短いから、子供撮影にも使えるが、フィルム巻き上げ速度はもう少し速くした方がいいと思う。KLASSEの多機能の一つに、NPモードがある。これはISO800以上のフィルムを使ったときに、暗所でもストロボを炊かないようにして綺麗なノーストロボ写真が撮れるというものだ。しかし、私がSUPERIA Venus 800でNPモードを試したところ、暗所ではシャッター速度が下がりすぎて、手ブレや被写体ブレが起こりやすい(同じフィルムをNikon F6で使ったときより、シャッター速度が下がる傾向があるように思う)。これではわざわざ高感度フィルムを使う意味がない。三脚を使うなら、ISO100やISO400のフィルムで撮ればいいからだ。従って、NPモードの真の存在意義は実は暗所撮影ではなく、以前にも書いたとおり、明るい所での通常撮影で画質が向上する点にあると言える。 KLASSE S/SUPER-EBC FUJINON 38mm F2.8/Aモード(絞り開放)/RVP100単焦点レンズらしく、実物に忠実で収差の少ないスッキリした画像が得られる。色のりもいい。私が使った銀塩高級コンパクトカメラの中でも、最も信頼できる性能だと思う。だてに現行を張ってるわけじゃないという感じだ。 AE(自動露出)の精度は比較的高いが、リバーサルフィルムの場合、逆光や太陽が頭上にあるときはプラス補正が必要だろう。新型KLASSEは、旧型に比べて露出補正がずっとやりやすくなっているから、その点だけでも新型を選ぶ価値がある。 KLASSE S 関連リンク集 http://hot-milk.tea-nifty.com/weblog/2008/08/klasse_s_ed45.html http://northpenguin2.way-nifty.com/blog/2007/05/klasse_snp_117e.html |